イオンパーツクリーナーとは 〜仕組みと課題解決例〜

イオンパーツクリーナーとは
〜仕組みと課題解決例〜

私たちの生活に身近な「静電気」。静電気は、セーターを脱いだりドアを開けるときに“パチっ”とくる自然現象ですが、ものづくりの現場では、不良品の発生や電撃によるケガなどトラブルの原因にもなっています。
従来、生産ラインの静電気対策にはイオナイザーなどの除電器が使われますが、エアブローによるホコリの飛散によって、別のトラブルを引き起こしてしまうことがありました。そこで活躍しているのが、除電と除塵が同時にできるイオンパーツクリーナーです。

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イオンパーツクリーナーとは

イオンパーツクリーナー

イオンパーツクリーナーは、静電気除去装置と集塵機が一体となった「静電気除去ユニット」です。イオンによる除電と、吹き飛ばしたホコリの回収を同時に行うことができます。
イオンパーツクリーナーは「イオン洗浄」という部品洗浄の新しいスタイルを生み出しました。組み立てた部品をその場でイオン洗浄することで、静電破壊による部品の破損や、ホコリの吸着による不良品の発生を未然に防ぐことができます。
イオンパーツクリーナーは、その形状から「イオンクリーンボックス」とも呼ばれ、電子部品や樹脂製品など、さまざまな製造現場で使用されています。

FLOW除電・除塵の仕組み(IPC-200の例)

    イオンパーツクリーナーの仕組み
  • ワークをフード内(イオンの雰囲気)に投入
  • センサーがワークを感知する
  • エアブローでホコリを吹き飛ばす
  • 吹き飛ばしたホコリをフィルターで回収

イオンパーツクリーナーの種類

イオンパーツクリーナーには、使用環境によって大きく4つのタイプがあります。

塵埃の多いワーク向け

フード内の静電気除去空間でエアー洗浄を行う、イオンパーツクリーナーです。
吹き飛ばしたホコリを集塵機で回収するため、クリーンな環境を保つことができ、排気で室内を汚すこともありません。
微細粉塵用の中性能フィルタを内蔵しており、塵埃が多い産業部品や大きなワークに最適です。

IPC-200

IPC-200

コンパクトな一体型のイオンパーツクリーナーです。
セル生産台や狭い場所でのイオン洗浄に最適です。

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IPC-400

IPC-400

フードと集塵機一体型のイオンパーツクリーナーです。
分離型ではないので、製造ラインの変更に伴う移設にも容易に対応できます。

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IPC-600

IPC-600

フードと集塵機一体型で、開口幅が広いイオンパーツクリーナーです。
強力なファン型イオナイザーを2台搭載しており、大きなワークのイオン洗浄に最適です。

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小型卓上タイプ

静電気除去装置と小型集塵ユニットを一体化した、卓上タイプの小型イオンパーツクリーナーです。
吹き飛ばしたホコリは、粘着ウレタンゲルとフィルタで捕集します。
机上に置ける「A4サイズ」「A3サイズ」でセル台に置くことができ、電子部品の組み立てや、比較的塵埃の少ない小さなワークに最適です。

IPC-A3

IPC-A3

静電気除去装置を2台搭載した、A3サイズの除電能力の高い卓上タイプです。

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IPC-A4

IPC-A4

IPC-A3よりも小さな、ほぼA4サイズの小型タイプです。

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ダストボックスタイプ

IPC-A3

IPC-V4

小型卓上タイプ〈IPC-A3/IPC-A4〉をさらに小さくした、縦型イオンパーツクリーナーです。
開口部が上にあるため、足元に設置することができ、机上のスペースを有効活用することができます。また工程変更に伴う移動や移設も楽に行うことができ、レイアウトの自由度が広がります。
作業者と作業者の間に設置すれば、二人で1台を兼用することも可能です。

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クリーン環境向け

IPC-250CR

IPC-250CR

クリーンルームやクリーン環境向けのイオンパーツクリーナーです。
HEPAフィルター搭載で、0.3μm以上の粒子を99.97%除去。エアー循環式のため、外部への排気もありません。
集塵機の排気口から出るホコリや、エアによるホコリの飛散を嫌うクリーン環境下でのイオン洗浄に最適です。圧縮エアーを使わず電気だけで稼働します。

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課題解決例

イオンパーツクリーナーによる課題解決例

イオンパーツクリーナーによる、イオン洗浄の課題解決例をご紹介します。

電子機器の組立前のパーツ清掃

  • 改善前

    改善前

    静電気によるホコリの付着が多く、エアブロー後も微小なホコリが再付着してしまうことがありました。

  • 改善後

    改善後

    除電・除塵・集塵の一体化により、静電気を除去しながらホコリを吸引。エアブロー後の再付着を防止します。

関連製品| IPC-200IPC-400IPC-600

自動車部品の異物混入対策

  • 改善前

    改善前

    帯電した樹脂部品が異物を引き寄せてしまい、異物混入の原因となっていました。

  • 改善後

    改善後

    安定した吸引力で異物を効率的に除去。DCブラシレスモーターで静音性も高く、生産現場でも使いやすい仕様です。

関連製品| IPC-200IPC-400IPC-600

樹脂製品の表面除塵

  • 改善前

    改善前

    樹脂は静電吸着で微細な粉塵が付きやすく、製品不良が発生していました。

  • 改善後

    改善後

    複数のフィルター構成(プレフィルター+中性能フィルター)で、微細な粉塵まで確実に捕集。品質の安定化が実現します。

関連製品| IPC-200IPC-400IPC-600

クリーンルームでの作業前処理

  • 改善前

    改善前

    作業前の除電・除塵工程に手間がかかり、作業者負担や処理時間が増えていました。

  • 改善後

    改善後

    エリアセンサーで自動的に起動するので、手をかざすだけで除電・除塵が完了。作業効率を高めつつ、省エネ運用も可能です。
    別売のHEPAフィルタに交換でき、室内の汚染も防げます。

関連製品| IPC-200IPC-400IPC-600

セル生産における除電・除塵

  • 改善前

    改善前

    セル生産では、除塵作業のためにクリーンベンチまで移動する必要があり、作業効率が低下していました。

  • 改善後

    改善後

    小型でセル台に設置できるため、手元で除電・除塵が行えます。工程内のムダな動作を減らし、作業効率の向上に貢献します。

関連製品| IPC-A3IPC-A4

塗装やコーティング前の除電・除塵

  • 改善前

    改善前

    塗装・コーティング前の表面に微細な粉塵が残り、仕上がり不良が発生していました。

  • 改善後

    改善後

    パルスエアーも使用できるため、固着した粉塵も効率よく吹き飛ばし、表面品質の安定化が実現します。

関連製品| IPC-A3IPC-A4

開梱後や包装前の除電・除塵

  • 改善前

    改善前

    外装材との擦れで帯電し、開梱・包装時に付着した粉塵がそのまま次工程へ持ち込まれてしまうことがありました。

  • 改善後

    改善後

    小型でどこにでも設置できるため、その場ですぐに除電・除塵が行えます。オフタイマー機能で片手操作もでき、効率よく作業が行えます。

関連製品| IPC-A3IPC-A4

静電気・ホコリ対策でお困りではありませんか?

ベッセルでは、除電と除塵を同時に行える「イオンパーツクリーナー」で、静電気による異物混入や不良発生の課題解決をサポートしています。現場環境に合わせた機種選定や導入のご相談も承ります。
静電気対策のことなら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

お問い合わせ

仕様について

Qどのくらいの粒子まで除塵できますか?

IPC-200/400/600は中性能フィルターを使用しており、0.4μm・0.7μmの粒子に対して50〜95%以上の捕集効率があります。IPC-A4/A3/V4は一般的な不織布フィルターを使用していますので、目視可能な比較的大きな粗じんの捕集となります。
どちらも、まず黒い粘着ゲルシートにホコリやチリを粘着させて、メインのフィルターの早期汚れを抑える役目になっています。

Q電源はAC?DC?

IPC-A4/A3/V4/200/400/600は、DC24V駆動です。
ACアダプターが付属していますので、電源はAC100Vで使用できます。

Qエアー圧はどれくらい必要ですか?

エアー圧は〜0.7MPa程度まで使えます。エアーブローの強さなどを考慮して圧力を決めてご使用ください。
エアーの清浄度にも注意が必要で、フィルターを通したクリーンエアーを推奨します。

環境について

Qクリーンルームで使えますか?

排気エアーからの塵埃拡散を防ぐため「HEPAフィルタ」を使用して、クリーンルームで使用する例があります。ただしエアーが室内のダウンフローを乱す恐れがあるので、IPC-A3は排気ダクトを接続してご使用ください。

Qどのくらいの設置スペースが必要ですか?

卓上型の小型モデル(例:IPC-A4)の場合は、A4サイズ(200×300mm)の設置面積が必要です。

Q設置で注意することは?

重量のある機種は、その重量に耐えるしっかりした台に置き、水平な場所に設置してください。

Q使用環境で注意が必要なことは?

湿度が極端に高い/低い環境では、性能が安定しない場合があります。粉塵が待っている環境や、爆発性の雰囲気の中では使用しないでください。

メンテナンスについて

Qフィルターやゲルシートの交換頻度は?

使用環境や頻度にもよりますので、定期的(週1回から月1回など)な清掃をお願いします。

Qフィルターは水洗いできますか?

粘着ゲルシートは水洗い可能で繰り返し使用できます。

Q放電針は清掃が必要ですか?

放電針の汚れは定期的に清掃する必要があります(汚れがたまると除電性能が低下します)。

Q交換用のフィルターや電極はどこで買えますか?

プレフィルターや針電極など、取扱説明書をご確認いただき、品番を指定して本製品をご購入いただいた販売店様へご依頼ください。

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