静電気対策のポイント
〜作業者〜
静電気対策は、設備だけでなく実際に作業を行う「人」に対しても重要です。
人体は大きな静電気の発生源で、帯電したまま作業を行うと、静電破壊を引き起こしてしまいます。
導電靴や帯電防止作業服、リストストラップを正しく使用し、人体から静電気を確実に逃がす仕組みを整えることが欠かせません。

作業者向けのアイテム例
導電靴
導電靴は、人体にたまった静電気を床を通じてアースへ逃がすために使われます。
歩行や移動で生じた電荷を効率よく床に流し、電子部品への放電を防ぎます。
導電性マット・タイルなどの床対策と組み合わせて使用することが求められます。
POINT対策のポイント
- 導電靴は必ず導電床と併用する
- 両足ともに導電マットや導電床の上で作業する
帯電防止作業服
通常の衣類は摩擦で帯電しやすく、そのまま作業すると電子部品に悪影響を与える恐れがあります。
帯電防止作業服は静電気の発生や放出を抑えるために着用するもので、衣服の一番上に身に着けることで効果を発揮します。
一部のタイプはグラウンドに接続でき、人体に蓄積した電荷を直接逃がすことも可能です。
POINT対策のポイント
- 中に着る衣服の材質は基本的に問わない
- 袖口などから下に着た衣服がはみ出さないように注意する
- 指サックや手袋を使用する場合は導電性のものを選ぶ
(テスターで確認し、OKランプが点灯すれば使用可能)
リストストラップ
リストストラップは、作業者の体にたまった静電気を手首から直接アースへ逃がす装置です。
特に電子部品を扱う手作業の多い工程では欠かせない対策で、人体からの静電気放電による不具合や破壊を防ぎます。
POINT対策のポイント
- 常時作業する場合は、導電床と導電靴の組み合わせを推奨
- 導電床と導電靴のいずれかが不足する場合は、リストストラップを必ず装着する
- 原則は手首に装着(足首に使用する場合は肌に直接触れるようにし、効果を確認する)
- 緩んだ装着は禁止。必ずバンドが肌に密着していること
定期点検について
作業者の静電気対策は、日常的に点検を行うことが大切です。
点検済みの導電テスタやリストストラップテスタを使い、結果をチェックシートに記録して管理するのが基本です。
| 点検項目 | 点検頻度 | 点検規格・方法 | 記録 |
|---|---|---|---|
| 導電靴 | 抵抗値:1回/日 | 1×105≦Rg≦1×108Ω | |
| 外観:1回/日 | 目視 | ||
| リストストラップ | 抵抗値:2回/日 | 7.5×105≦Rg≦3.5×107Ω | |
| 外観:1回/日 | 目視 | ||
| 衣類 | 抵抗値:1回/日 | 1×105≦Rp≦1×1011Ω | |
| 手袋・指サック | 抵抗値:1回/日 | 7.5×105≦Rg≦1×1012Ω |
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POINT点検のポイント
- 導電テスタで作業者自身が実使用状態で抵抗を測定する
- リストストラップテスターで断線の有無を確認する
- 外観検査を行い、緩みや破れがないことをチェックする