静電気対策のポイント
〜床〜
床は歩行によって静電気が生じやすい場所です。
発生した静電気は、電子部品を破壊するだけではなく、作業者自身にも帯電してしまう恐れがあります。そのため、床材を静電気対策仕様にし、電荷をグラウンドへ確実に逃がす経路を確保することが大切です。
主な対策方法には、導電性塗料の塗布や導電性マット・タイルの敷設があります。
床の接地について
床には導電性シートやタイルを敷き、アースに接続することで表面の帯電を抑えます。
確実に接地することで、歩行や作業で発生した静電気を効率よく大地へ逃がすことができます。

導電性シートの例
POINT対策ポイント
- 導電性床材の代わりに、基準を満たす導電性塗料も使用可能
- 床材はアース線(アース線付き銅板)を用いて「面」で接地する
- 単層構造の床材は、床材を貫通するよう金具を取り付ける
- 二層以上の床材は、金属板や金具を抵抗値の低い面に取り付ける
- 単層・二層にかかわらず、アース線を床材に直接つなぐのは禁止
(抵抗値が上がり効果低下、接地経路も確認できないため) - 通常のワックスは、シリコーンやパラフィンが表面に残り除電効果を下げるため禁止
定期点検について
床の静電気対策は、施工して終わりではなく、定期的な点検で効果を維持することが大切です。
点検済みの漏洩抵抗計で抵抗値を測定し、結果をチェックシートに記録して管理するのが基本です。
| 点検項目 | 点検頻度 | 点検規格・方法 | 記録 |
|---|---|---|---|
| 床・マット | 抵抗値:1回/3ヶ月 | 7.5×105≦Rg≦1×109Ω | |
| 接地接続部:1回/月 | 目視 | ||
| 外観:1回/月 | 目視 |
右にスクロールできます ➡︎
POINT点検ポイント
- 床やマットの漏洩抵抗を定期的に測定する
- 設置時に点検用の接続図を作成し、点間抵抗は最低3か所以上で測定する
- 外観や接地状態を目視・手感で確認する
導電率の測定について
床の導電率の測定方法(IEC61340-2-3)についてご紹介します。
点間抵抗(Rp)の計測方法
- 試験する試料の表面を上にして、試験支持台の上に置く
- プローブを試料端から50mm以上離れた位置に置く
- プローブ間の距離を250mm以上離した状態で計測する
- 10Vの電圧を加え、15秒後に読み取り記録する
(抵抗値が1.0×106Ω以上であれば、100Vの電圧を加え15秒後に読み取り記録する)
グラウンド抵抗(Rg)の計測方法
- 試験する試料の表面を上にして、試験支持台の上に置く
(試料にはグラウンド可能接続点を設ける) - プローブを試料、またはグラウンド可能接続点から50mm以上離れた位置に置く
- 計測器の片方のリードをプローブに、もう片方をグラウンド可能接続点に接続する
- 10Vの電圧を加え、15秒後に読み取り記録する
(抵抗値が1.0×106Ω以上であれば、100Vの電圧を加え15秒後に読み取り記録する)