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特集

「締めすぎ・締め不足」の不安を、いつもの工具で解決 ― トルクビットホルダー

配電盤や端子台、機械の組立など、さまざまな現場で行われるネジ締め。身近な作業ですが、締めすぎると部品を傷め、締め付けが足りないと緩みや接触不良、発熱につながるおそれがあります。 こうしたトラブルを防ぐにはトルク管理が重要です。

配電盤や端子台、機械の組立など、さまざまな現場で行われるネジ締め。身近な作業ですが、締めすぎると部品を傷め、締め付けが足りないと緩みや接触不良、発熱につながるおそれがあります。
こうしたトラブルを防ぐにはトルク管理が重要です。しかし、専用のトルクドライバーをそろえ、作業のたびに持ち替えるのは、現場にとって大きな負担になります。そこで開発されたのが、ベッセルの「トルクビットホルダー(TBH)」です。
この記事では、その仕組みや特長、活用できる作業についてご紹介します。

現場の困りごと ― 「適正トルク」は、見えない

ネジ締めにおける締めすぎ・締め不足の問題

ネジ締めは、多くの現場で日常的に行われている作業です。しかし、ネジを締める力は目に見えません。手作業では、締め具合の判断を作業者の感覚に頼ることも多く、次のような問題が発生することがあります。

◎ネジ締めで発生する問題

問題 内容
締めすぎ ネジ山の破損、端子台やワークの割れ、部品の変形につながります。
一度部品を傷めると、交換や復旧に時間とコストがかかります。
締め不足 振動によるネジの緩みや、電気系統のトラブルにつながることがあります。
見た目では判断しにくく、後工程や設備の使用中に発覚することもあります。
作業者ごとのばらつき ベテランと新人では、ネジを締める力に差が出ることがあります。
作業者が替わるたびに締め具合が変わると、品質を安定させることが難しくなります。

こうした問題を防ぐために行われるのが「トルク管理」です。

専用のトルクドライバーを使えば、決められた力でネジを締めることができます。一方で、専用工具は一般的なドライバーよりも重く、導入コストもかかります。ネジのサイズや設定トルクに応じて、工具を持ち替えなければならない場合もあります。

ネジを締める本数が多い現場や、持ち込める工具が限られている現場では、すべての作業に専用工具を用意することが難しい場合もあります。

― 本格的なトルク管理までは必要ないものの、締めすぎや締め不足は防ぎたい ―

トルクビットホルダーは、そうした現場の声に応えるために開発されました。

トルクビットホルダーとは

トルクビットホルダー

トルクビットホルダー(TBH)は、設定トルクに達すると「カチッ」と空転する、簡易トルク管理ツールです。ビットとドライバーの間に取り付けることで、ネジを締める力の上限を管理し、締めすぎを防ぎます。
ベッセルの電ドラボールシリーズや差替ハンドル、7.2V以下・250rpm以下のドリルドライバーに取り付けて使用できます。

製品情報
トルクビットホルダー
いつもの工具をそのまま活用
いつもの工具に取り付けて使えるトルクビットホルダー

トルクビットホルダーは、ベッセルの電ドラボールシリーズや差替ハンドル、7.2V以下・250rpm以下のドリルドライバーに取り付けて使用できます。
専用のトルクドライバーを新しくそろえる必要がなく、工具箱に加わるのは、手のひらに収まる小さなホルダーだけ。工具を持ち替える手間や、保管スペースを抑えながら導入できます。

専用トルクドライバーとの違い

トルクビットホルダーと専用トルクドライバーは、求められる管理レベルに応じて使い分ける工具です。トルクビットホルダーは、一般的なネジ締めで締めすぎを防ぎ、作業者による締め具合のばらつきを抑えたいときに適しています。
一方、締結トルクの記録や校正証明が必要な工程では、専用のトルクドライバーが必要です。

比較 トルクビットホルダー(TBH) 専用トルクドライバー
導入方法 手持ちの差替ドライバーに装着 専用工具として別に用意
携帯性 小型・軽量 製品によっては大きく重い
工具の持ち替え 少ない トルクごとに持ち替えが必要
設定トルク 品番ごとに固定 可変式がある
校正証明書 非対応 対応製品あり
主な用途 一般的なネジ締め、点検、保守、簡易的なばらつき防止 重要部品、規格管理、品質保証が必要な締結
導入コスト 低コスト 比較的高い

すべてのネジを厳密に管理する必要はないものの、作業者の感覚だけに頼ったネジ締めは見直したい。トルクビットホルダーは、そうした作業に取り入れやすい工具です。

使用時のポイント

トルクビットホルダーは、設定トルク精度±10%の簡易トルク管理ツールです。校正証明書や締結トルクの記録・保証が必要な工程、重要保安部品の締結には対応していません。また、電動インパクトドライバーやネジを緩める作業には使用できません。

活躍するシーン① 電気工事

電気工事で活躍するトルクビットホルダー

トルクビットホルダーは、配電盤や分電盤、端子台、電力メーターなど、電気工事・設備保全のネジ締めに活用できます。
多くのネジを続けて締める作業では、締めすぎを防ぎ、作業者による締め具合のばらつきを抑えることが重要です。

配電盤・端子台の結線

配電盤や端子台では、多くの端子ネジを続けて締めます。締めすぎは端子台の破損、締め不足はネジの緩みや発熱につながるおそれがあります。
トルクビットホルダーは、M3からM6までの5サイズを用意。設定トルクに達すると「カチッ」と空転するため、締めすぎや作業者によるばらつきを抑えられます。

定期点検での増し締め

端子ネジの増し締めは、作業者によって締め具合に差が出やすく、締めすぎるとネジや端子台を傷めることがあります。
トルクビットホルダーを使えば、設定トルクを超える締め付けを防ぎ、点検作業のばらつきを抑えられます。小型・軽量で、盤内の奥まった端子にも使いやすい工具です。

活躍するシーン② 生産ライン

生産ラインで活躍するトルクビットホルダー

トルクビットホルダーの設定トルクは0.7~4.6N・mで、製造・組立ラインで行われる小ネジの締結に活用できます。

専用のトルクドライバーをすべての工程に用意するほどではないものの、締めすぎや作業者によるばらつきを抑えたい。そうした組立工程に取り入れやすい工具です。

小物部品・カバー類の組付け

樹脂カバーや小型部品は、締めすぎると破損し、締め付けが足りないとガタつくことがあります。
トルクビットホルダーを使えば、締め付ける力の上限をそろえられます。電ドラボールと組み合わせることで、早回しと最後の手締めをひとつの工具で行えます。

手直し・多品種少量の組立

多品種少量の組立では、製品ごとにネジや締結条件が異なります。
トルクビットホルダーなら、必要なサイズだけをそろえられるため、専用工具の導入コストや保管スペースを抑えながら、さまざまなネジ締めに対応できます。

出張作業・訪問メンテナンスにも最適
出張作業・訪問メンテナンス

出張作業では、持ち込める工具の数や重さが限られます。
小型・軽量のトルクビットホルダーなら、いつもの工具を活用しながら締め具合を安定させ、携帯する工具も減らせます。

選ばれる3つの理由

スライドスリーブ式でビットを保持

理由1:スライドスリーブ式でビットを保持

トルクビットホルダーには、ビットをしっかり保持できるスライドスリーブ式を採用しています。スリーブを前方へ動かしてビットを差し込むことで、簡単に取り付けられます。
盤内や高所など、ビットを落としたくない場所でも使いやすく、狭い場所での作業にも適しています。

4クリックで締め終わりを確認

理由2:「4クリック」で締め終わりを確認できる

ネジを着座させたあと、設定トルクに達すると内部の機構が「カチッ」と空転します。約45度回転させる間に4回クリックすることで、締め付けが完了します。

音と手応えで締め終わりを確認できるため、作業者による判断のばらつきを抑えられます。

ドライバーメーカーとして培ってきた技術

理由3:ドライバーメーカーとして培ってきた技術

ベッセルは1916年の創業以来、ドライバーをはじめとするネジ締め工具を開発してきました。
トルクビットホルダーも、ネジ締め作業のしやすさを考えて開発された製品です。電ドラボールなどのベッセル製品と組み合わせることで、作業内容に合った使い方ができます。

機種一覧と選び方

トルクビットホルダーの機種一覧と選び方

使用するネジの呼び径に合わせて、設定トルクの異なる5サイズから選びます。
M3からM6までをまとめてそろえる場合は、5本セットの「TBH5S」があります。専用ケースに入っているため、保管や持ち運びにも便利です。

品番 対応ネジ 設定トルク
(N・m)
精度 外径/全長
TBH-M3 M3 0.7 ±10% φ14.5/75mm
TBH-M3.5 M3.5 1.1 ±10% φ14.5/75mm
TBH-M4 M4 1.4 ±10% φ14.5/75mm
TBH-M5 M5 2.6 ±10% φ14.5/75mm
TBH-M6 M6 4.6 ±10% φ14.5/75mm
TBH5S M3~M6 上記5本セット 専用ケース入り ケース103×161mm

 

製品情報
トルクビットホルダー

設定トルクは、配電盤でのネジ締めを想定した値です。締結する部品や用途によっては適さない場合があります。締結対象に合ったサイズをお選びください。

電ドラボールシリーズとの組み合わせ
電ドラボールシリーズとトルクビットホルダー

トルクビットホルダーは、ベッセルの電ドラボールシリーズと組み合わせて使用できます。電動による早回しと、設定トルクによる手締めを、ひとつのドライバーで行えるのが特長です。すでに電ドラボールを使用している現場では、必要なサイズを追加するだけで簡易トルク管理を取り入れられます。

よくあるお問い合わせ

どんなドライバーで使えますか?
ベッセルの電ドラボールシリーズ、差替ハンドル(220W/230W/230HW/270W/270BWなど)、7.2V以下・250rpm以下のドリルドライバーで使用できます。電動インパクトドライバーには使用できません。
電動のまま最後まで締めても大丈夫ですか?
電動回転は着座の手前で止め、最後は手動で締め付けてください。
特に、220USBCとTBH-M3を組み合わせる場合は、必ず着座前に電動回転を止めてください。
製造ラインの締結にも使えますか?
設定トルクが0.7~4.6N・mの範囲に収まる、M3からM6までの一般的な小ネジ締結に使用できます。
ただし、校正管理や締結トルクの記録が必要な重要保安部品には適していません。使用するネジや締結対象に合うか分からない場合は、お問い合わせください。
ビットは付属していますか?
ビットは付属していません。全長35mm以上・対辺6.35mmの両頭ビット、片頭ビットに対応しています。

使用回数の目安はどれくらいですか?
使用可能回数は10,000回です。設定トルクに達したときの4クリックを、ネジ締め作業1回として数えます。

締めすぎ・締め不足でお困りの方は、ぜひお問い合わせください

ベッセルは1916年の創業以来、ドライバーをはじめとするネジ締め工具を開発してきました。本格的なトルク管理までは必要ないものの、締めすぎや締め不足を防ぎたい現場には、トルクビットホルダーが役立ちます。使用するネジや作業内容に合う製品が分からない場合は、ぜひお問い合わせください。