エアーツール

2025.05.20

【基礎知識】コンプレッサーの動力計算について

エアーコンプレッサーは、圧縮空気を生成するための機器です。
エアーツールを安定して使用するためには、適正な空気圧力を維持しながら、空気消費量に追いつくだけの吐出流量が必要です。近年では工場の自動化が進むなか、空気消費量も増えており、より効率の高いエアーコンプレッサーが求められています。
コンプレッサーの大きさは動力計算を用いて、おおよその選定ができます。

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圧縮空気とエアーコンプレッサーについて

コンプレッサーの動力計算

コンプレッサーの必要動力(kW)は、下記の動力計算で算出します。

コンプレッサーの動力計算

〈それぞれの値の説明〉

① 7.5(出力 kW) 1㎥/min(ゲージ0.6MPa)を吐出するのに、7.5kWのコンプレッサーが必要です。
② 空気消費量(㎥/min) エアーツールを1分間連続使用した場合の空気消費量です。
メーカーのカタログ値から算出します。
③ 同時使用台数 同時に使用するエアーツールの台数です。
すべてのツールを同時に使うことは希なため、次項の「同時使用台数の算出について」を参考に、稼働係数を掛けます。
④ 運転率 エアーツールを連続的に使用するか、断続的に使用するかで必要動力が大きく変わります。
次項の「運転率の算出について」を参考に、運転係数を掛けます。
⑤ 空気もれロス 配管ロスやホースからの空気もれ・圧力低下などを考慮します。
空気もれロスを15%と想定した場合は、1.15を掛けます。
安定作業のポイント

将来の工具増加も見込んで、最終的に算出したコンプレッサーの動力からさらに余裕のもった機種の選定をおすすめします。また、予備エアータンクにエアーを溜めておくと安心です。

同時使用台数の算出について

複数台のエアーツールを接続する場合は、以下の表を参考に稼働係数を算出します。

〈稼働係数の参考数値〉

総使用台数 稼働係数(同時使用台数÷総使用台数)
1~5
1.0
6~10
0.8
11~20
0.7
21~30
0.6

運転率の算出について

連続的に使用するツールと断続的に使用するツールでは、必要動力が異なります。
断続的に使用するエアーツールの場合、1分間当たりの運転率(動作時間)を考慮する必要があります。
(例:運転時間が1分間あたり20秒の場合、20秒÷60秒=1/3を掛けます)

連続的に使用するエアーツールの例

  • グラインダー
  • サンダー
  • ドリル など

断続的に使用するエアーツールの例

  • インパクトレンチ
  • エアードライバー
  • エアーニッパー など

〈運転係数の参考数値〉

運転状態 運転係数
連続使用
1.0
断続使用
0.5

動力計算の例

エアーツールを複数台使用した際の動力計算の例をご紹介します。

使用ツール

  • 【A】エアーマイクログラインダー(GT-MG35SAR):4台
  • 【B】エアードライバー(GT-P8D):8台
動力計算の例

[実際の計算式]7.5×((0.285×4×1.0×1.0)+(0.4×8×0.8×0.5))×1.15 = 20.8725

上記から、コンプレッサーの必要動力は20.8725kWと算出できます。
余裕を持たせた22kW相当のコンプレッサーが必要ということになります。