エアーツール

2022.12.28

【関連知識】圧縮空気とエアーコンプレッサーについて

圧縮空気(圧縮エア)は、大気中の空気を圧縮し、体積を小さくした空気です。圧縮された空気は「圧力」を持ち、膨張する力を利用して機械や工具を動かします。
圧縮空気の生成には「エアコンプレッサー」が欠かせません。エアツールを使いこなすためには、エアコンプレッサーの正しい使い方を理解することが重要です。

圧縮空気の特長とは

圧縮空気の配管

圧縮空気は自動車製造から、半導体・食品・医薬品まで、あらゆる製造工程で使われている、工場になくてはならない動力です。
大気中の空気を利用するため、手軽に生成できるのが特長ですが、その反面、大気中のゴミやチリも混入しやすく、精密な製造現場ではより品質の高い圧縮空気が求められています。

〈圧縮空気の使用例〉

動力 エアーツール、エアーモータ、アクチュエータなど
ブロー エアーガン、スプレーガンなど
加圧 タイヤ、風船、浮輪など
気送 搬送、エアシューターなど
呼吸 酸素ボンベ、換気など

圧縮空気の空気圧について

圧縮空気の空気圧には、一般的に大気圧=0を基準とした「ゲージ圧」が使われています。

一方、大気圧(約0.1MPa)を加算した圧力を「絶対圧」と呼びます。
(この場合、”0 Pa”は絶対真空と呼ばれますが、現実には存在しません)

参考

大気圧=約0.1MPa(1kgf/cm2・1気圧)1cm2の面積当たりに空気の重さ1kgがかかっています

 

圧力の単位(パスカル)とは

圧力の国際単位は、パスカル(Pa)です。
1パスカルは、「1平方メートルの面積につき、1ニュートンの力が作用する圧力または応力」と定義されています。
単位の名称は、圧力に関する「パスカルの原理」を発見した、ブレーズ・パスカルに因んでいます。

〈パスカルの種類〉

hPa ヘクトパスカル 気象で使用されています(ミリバールとも)
kPa キロパスカル タイヤの空気圧で使われています
MPa メガパスカル 空圧機器で使用されています

 

国際単位以外の規格は?

米国では、PSI(lbf/in2)が使用されています。PSIはヤード・ポンド法での圧力・応力の単位で、「1平方インチの面積につき、1重量ポンド(lbf)の力がかかる圧力・応力」と定義されています。日本では国際単位を用いていますので、使用することはできません。

エアーコンプレッサーの選定について

圧縮空気を生成するための機器が、エアコンプレッサーです。
エアコンプレッサーは、タンク・圧縮機・モータで構成されており、生成する空気の量によって、サイズ(容量)や圧縮方式などさまざまな種類があります。

 

エアーコンプレッサーの大きさの選定

エアーツールを安定して使用するためには、適正な空気圧力を維持しながら、空気消費量に追いつくだけの吐出流量が必要です。近年では工場の自動化が進むなか、空気消費量も増えており、より効率の高いエアコンプレッサーが求められています。コンプレッサーの大きさは次の計算式を用いて、おおよその選定ができます。
将来の工具増加も見込んで、余裕を持った選定が重要です。安定した作業のためには、予備エアタンクにエアーを溜めておくとよいでしょう。

〈コンプレッサーの大きさの計算式〉

損失を含んだ馬力 HP × 空気消費量 m3/min(カタログ値) × 使用する台数 × 稼動率(下表参照) × 空気もれロス 1.15(15%想定の場合)

※断続的に使用するエアーツールの場合、1分間当たりの使用率(動作時間)を考慮する必要があります。例えば、運転時間が1分間あたり20秒とすると、20秒÷60秒=1/3を掛けます。

稼働率の参考数値
使用台数 稼働率(同時使用台数÷総使用台数)
1~5 1.0
6~10 0.8
11~20 0.7
21~30 0.6

 

計算のポイント

カタログ上の各ツールの空気消費量は、1分間連続使用した場合の数値(L/minやm3/min)を示しています。エアードライバーのように断続的に使用する機種と、グラインダーのように連続的に使用する機種では、計算時に注意が必要です。

 

エアーユニット(3点セット)の選定

三点セット

エアーコンプレッサーは、ゴミ・チリの除去や圧力調整のため、エアーフィルター・レギュレター・ルブリケーターの「エアーユニット」との併用が必須となっています。エアーユニットは配管の途中に取り付けて使用します。

エアーフィルター(ドレン抜き)

エア配管の途中に取り付け、エアコンプレッサーのフィルターを通過してきたドレン(不純物)やゴミ、配管内で発生したさびを濾過して分離除去する機器です。
作業開始前には、エアーフィルターにたまったドレンを抜く必要があります。

レギュレター(減圧弁)

出口側圧力を入口側圧力よりも低く調整する圧力弁です。エアツールに適した圧力を調整します。(圧力をあげることはできません)
できるだけエアツールに近いところで設置・調整するのがよいです。

ルブリケーター(オイラー)

潤滑油をエアツールに自動供給する機器です。空気の流れに従って、一定量潤滑油を吸い上げ、滴下・霧状にして出口側に送り出します。(その状態が外から見えるようになっています)
エアツールのオイルには、スピンドル油N0.60、油圧作動油VG10などを使用します。30秒に1滴のオイルが目安です。

エアーホースの選定

エアーホースは、ゴムホースやウレタンホースなどの空気配管用のホースです。選定時には耐圧力・サイズ・長さなどに注意が必要です。
細いホースや長いホースは、空気圧力が低下してエアツールの能力が十分発揮されません。手元圧力がちょうど指定圧力になるようにレギュレターで調整してください。
またホースの材質には、ゴムやナイロン、ポリウレタンなどがあります。それぞれの特長を考慮して選ぶ必要があります。

エアーコンプレッサーの注意点

エアコンプレッサーは、ドレン(不純物)や水が大敵です。エアーフィルターを使って適切に除去しないと、エアツールの故障や製品への異物混入の原因となります。

〈水分の発生について〉

エアコンプレッサーで吸い込んだ大気は圧縮すると高温になり、多くの水分をため込みます。水分は配管内で冷却されると水滴となって、配管内のさびやエアーツール内部のさびの原因となります。

〈ドレンの発生について〉

エアコンプレッサーが大気中から吸い込んだ塵埃や、内部の潤滑オイルや金属粉が水分と混じって、ドレンと呼ばれる不純物が生成されます。
ドレンは医薬品や食品工場で問題となったり、塗装工程の塗装ムラの原因や、エアシリンダー・エアー機器の故障の原因となります。

エアカプラ(継手)について

エアカプラは、エア配管の接続に欠かせない継手部品で、クイックジョイントやカップリングともよばれます。(カプラは日東工器株式会社の登録商標です)
エアカプラはオス側のプラグ(表記:P)とメス側のソケット(表記:S)が対になっており、プラグを抜くと自動でバルブが閉じる仕組みになっています。

〈サイズ表記について〉

エアカプラは、内径を「分(ブ)」で表します。

1分(イチブ) 1/8インチ
2分(ニブ) 1/4インチ
3分(サンブ) 3/8インチ