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2024.03.14

【基礎知識】オービットダイヤとサンダーの選定について

ベッセルのサンダーは、金属や木材の研磨作業に使われる、圧縮空気を動力源としたエアツールです。
エア式のサンダーは電動式に比べてコンパクトで、通常の工具では届かない箇所の仕上げに広く使われていますが、サンダーによる効率的な研磨でポイントとなるのが、回転軸の偏芯量(オービットダイヤ)です。

この記事では、オービットダイヤの見方と、各種サンダーについてご紹介します。

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オービットダイヤとは

オービットダイヤとは、サンダーにおける回転軸の「偏芯量」のことです。
ローターシャフトの中心軸と研磨パッドの中心軸との距離(mm)×2が、オービットダイヤのサイズとなります。
オービットダイヤは大きいほど研削力が強く、逆に小さいと仕上げ向きとなり、一般的には荒研磨や仕上げなど、用途に合わせて使い分けがされます。

オービットダイヤとは

〈オービットダイヤサイズによる違い〉

オービットダイヤサイズ 特徴
大きい ・偏芯量が大きく、研磨効率が向上
・回転による傷(研磨跡)が大きい
小さい ・偏芯量が小さく、研磨効率は低下
・回転による傷(研磨跡)が小さい

サンダーの種類

偏芯する研磨方式は、主に金属・木工・パテ・FRPなどの面研磨で使われるサンダーに用いられます。
ベッセルで取り扱っている、偏芯のある「オービタルサンダー」「ダブルアクションサンダー」と、偏芯のない「シングルアクションサンダー」についてご紹介します。

〈研磨方式と研磨力の比較〉

研磨方式 動き 研磨力 主な用途
オービタル
オービタル

小さい

面だし(面出しや木工作業など、広い平面やエッジのある面など)

ダブルアクション
ダブルアクション


中研ぎ(塗膜はがしや、パテで補修した表面の研磨など)
シングルアクション
シングルアクション

大きい
荒研ぎ(サビ取りや塗装はがし、ポリッシングなど)

オービタルサンダー

オービタルサンダー

オービタルサンダーは、角型パッドが小刻みに楕円振動するサンダーです。
研削力はダブルアクションサンダーに比べ落ちますが、削りすぎることがなく、力が平均的にかかり扱いやすいのが特徴です。面出しや木工作業など、広い平面やエッジのある面に使われます。

オービタルサンダー

ベッセルのオービタルサンダーは、手にすっぽり収まるワンハンドタイプで、作業性に優れるのも特徴です。

オービタルサンダーの動き

オービタルサンダーの動き

オービタルサンダーの選定について

オービタルサンダーの選定では、下記の2点がポイントとなります。

1.集じん方式の選定

集じん方式の選定

オービタルサンダーには、粉じんや削りカスを吸収する集じんタイプがあります。
粉じんは身体被害にもつながるため、使用環境に合わせて集じん方式を選定しましょう。
(吸じん式でも、マスク・ゴーグルは必須です)

吸じん式
吸じん式

排気を利用した吸出し機構で、集じんバッグに粉じんや削りカスを吸い集めるタイプです。

非吸じん式
非吸じん式

単独の排気口を持ったタイプです。集じんは行わないため、通気などの使用環境に配慮が必要です。

2.サンドペーパーの選定

オービタルサンダーは、木工用サンドペーパーや耐水ペーパー、研磨布などの一般的なサンドペーパーを取り付けて使用します。
サンドペーパーの取り付け方法には、「マジックペーパータイプ」と「クランプタイプ」があります。

サンドペーパーの選定
マジックペーパータイプ

サンドペーパーの裏面が面ファスナーで取り付けできるよう、柔らかい布生地になっています。
ワンタッチで着脱でき、専用サイズのためカットの手間なく使用することができます。

クランプタイプ
クランプタイプ

サンドペーパーをクランプレバーで固定する方式です。
サンドペーパーのカットの手間はかかりますが、市販のサンドペーパーを使うことができ、マジックペーパータイプと比べると安価です。
(ベッセルでは、クランプタイプのサンダーは取り扱いしていません)

吸じん式の場合は?
吸じん式の場合は

吸じん式のオービタルサンダーを選定した際は、穴付きパッドに対応した専用ペーパーを選定してください。ペーパーに吸じん用の穴が空いています。

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オービタルサンダー

ダブルアクションサンダー

ダブルアクションサンダー

ダブルアクションサンダーは、円形パッドが偏心軸を中心に回転するサンダーです。
研磨力は、オービットダイヤ(偏芯量)によって変わりますが、荒研磨から仕上げまで幅広く使用することができ、塗膜はがしや、パテで補修した表面の研磨などに使われます。
ベッセルのダブルアクションサンダーは、手にすっぽり収まるワンハンドタイプで、作業性に優れるのも特徴です。

ダブルアクションサンダーの動き

ダブルアクションサンダーの動き

ダブルアクションサンダーの選定について

ダブルアクションサンダーの選定では、下記の3点がポイントとなります。

1.オービットダイヤのサイズ選定

ベッセルのオービットダイヤのラインナップは、以下の通りです。
用途に応じてサイズを使い分けることが重要です。

3.0mm 仕上げ用(動きが細かい)
4.8/5.0/6.0mm 汎用(全般的に使用できる)
10.0mm 荒研磨用(動きが大きい)

2.集じん方式の選定

集じん方式の選定

ダブルアクションサンダーには、粉じんや削りカスを吸収する集じんタイプがあります。
粉じんは身体被害にもつながるため、使用環境に合わせて集じん方式を選定しましょう。
(吸じん式でも、マスク・ゴーグルは必須です)

吸じん式
吸じん式

排気を利用した吸出し機構で、集じんバッグに粉じんや削りカスを吸い集めるタイプです。吸じん式には、集じん機を接続する「他吸じん式」もあります。
(ベッセルの吸じん式は、集じんホース取付口があり、吸じん/他吸じんを切替可能です)

非吸じん式
非吸じん式

単独の排気口を持ったタイプです。集じんは行わないため、通気などの使用環境に配慮が必要です。

3.ディスクペーパーの選定

ダブルアクションサンダーは、市販の研磨用ディスクペーパーを取り付けて使用します。
ディスクペーパーの種類には、取り付け方法に応じて「マジックペーパータイプ」と「のり付きタイプ」があります。

マジックペーパータイプ
マジックペーパータイプ

ディスクペーパーの裏面が面ファスナーで取り付けできるよう、柔らかい布生地になっています。
何回でも取り外して使えるため、ペーパーの番手(#)を変えながら作業ができます。

のり付きタイプ
のり付きタイプ

剥離紙をはがして、パッドに取り付けるディスクペーパーです。
取り付けの手間がかかりますが、パッドにしっかりと密着するため、高い研磨力が得られます。
マジックペーパータイプと比べると安価です。
(ベッセルでは、のり付きタイプのサンダーは取り扱いしていません)

吸じん式の場合は?
吸じん式の場合は

吸じん式のダブルアクションサンダーを選定した際は、穴付きパッドに対応した専用ペーパーを選定してください。ペーパーに吸じん用の穴が空いています。

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ダブルアクションサンダー

シングルアクションサンダー

シングルアクションサンダー

シングルアクションサンダーは、円形パッドが偏心せずに回転するサンダーです。
研磨力が高く、サビ取りや塗装はがし、ポリッシングにも最適です。パッド円周の周囲を削りすぎてしまうことがあるため、注意が必要です。

シングルアクションサンダー

シングルアクションサンダーの動き

シングルアクションサンダーの動き
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